過去2回とまったく同じ理屈で姫路入港を許可した知事
06年8月24日の朝9時過ぎ、兵庫県が管理する姫路港にアメリカ第7艦隊所属のイージス艦(ミサイル駆逐艦)ジョン・S・マッケインは入港した。これで姫路港への米艦船の入港は、01年8月のイージス艦ビンセンス、03年11月のミサイル巡洋艦ヴァンデグリフトに次いで3回目である。
県が入港を許可した理由は、過去2回の場合とまったく同じである。
すなわち「核搭載の有無を、在大阪・神戸米国領事館に対して照会していたところ、水上艦艇に核を装備しないという米国の一般方針、及び日米安全保障条約に基づく義務を誠実に遵守しているとの回答がありました。また、外務省からは、日米安全保障条約に基づく核持ち込みに係る事前協議がなかったとの回答を得ましたこのことから、兵庫県としては適切な確認を行った」(平成18年8月21日の知事定例記者会見での文書コメント)というものである。
3回目は、非核神戸方式=「千枚取っても自己証明」と誹謗まで(井戸知事)
あまつさえ、同記者会見で知事は「非核証明をとれ」という県民の意見に対して、「非核証明は自己証明ですから、自己証明を千枚取ったからといって本当に証明になるのだろうか」とまで非核神戸方式を批判し、「現行の枠組み、あるいは米国政府の基本的な考え方というものを前提に私どもは判断した」とまで述べている。 もと自治官僚出身とはいえ、恐れ入った中央政府崇拝、小泉首相に負けない米国追従であるし、神戸市民へ真っ向からの挑戦である。
米国BMD(弾道ミサイル防衛)計画のど真ん中にいるイージス艦ジョン・S・マッケイン
さらに、問題は核の問題だけではない。最近アメリカが進めているミサイル防衛システムとの関連も問題である。とくに、今回姫路入港のイージス艦ジョン・S・マッケインは他のイージス艦2隻(カーティス・ウイルバー、フィッツジェラルド いずれも母港は横須賀)とともに、北朝鮮の長距離ミサイルに対して米国本土防衛(BMD)のため「奥尻島西方190キロに作戦区域」を設けて日本海パトロール活動を行っていた艦船だ。
今年の北朝鮮ミサイル発射の時、イージス艦ジョン・S・マッケインは、
また今年7月5日の北朝鮮ミサイル発射時にも、リムピースの「横須賀基地米艦船の入港調査」によれば、前記のイージス艦2隻とそれぞれ作戦行動し(下記の航跡図および航海記録)、その後8日に3隻そろって母港・横須賀に戻っている。こうした同艦の行動と日本が進めているMD(ミサイル防衛)計画を踏まえるならば、アメリカと一体化した戦争の戦略に私たちを引きずり込んでいくものだ。
※NPOピースデポ/PCDS(太平洋軍備撤廃運動)のニュース「核兵器・核実験モニター」No.239などを参照
※イージス艦ジョン・S・マッケインの航跡図と航海記録
(資料は、いずれもNPOピースデポの「記者会見資料・06年11月2日」より)
イージス艦(ミサイル駆逐艦)ジョン・S・マッケイン
イージスシステムを搭載したアーレイバーク級ミサイル駆逐艦、母港は横須賀
排水トン数:8,315トン、全長:153.77m、全幅:20.27m
最大速度30ノット以上、士官・兵員337名、トマホーク・巡航ミサイル搭載、
イラク戦争ではトマホークを発射して戦闘に参加。
最近では、鳥取県境港(7月18日)、青森港(8月3日)へそれぞれ入港している。
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