海底の写真


  (朝日新聞11年6月7日朝刊)



▲橋本弦(はしもと・げん):
朝日新聞写真センター記者。98年入社。05年には厳冬期の知床半島先端部に調査チームとともに入り撮影取材。06年には極寒のロシア極東でアムール川流域の自然環境問題を取材。同年夏からは「北極異変」「地球異変」取材班の一員として、ノルウェーが統治する北極圏のスバールバル諸島、アラスカ沖の北極海などで取材。






<続報> 無事だった写真の少女

 「岩手・山田湾に震災後3か月近く沈んでいた写真の少女は無事だった。朝日新聞記者とカメラマンが潜水取材で見つけた1枚。7日付朝刊で紹介したところ、『私の娘』と母親から連絡があった。記者が10日、少女と家族に手渡した。
 写真の中でせんべいをかじっていたのは、岩手県山田町の稲川萌(もえ)ちゃん(6)で、後ろの男性は一関市に住む伯父の鈴木智さん(36)。鈴木さんが昨年8月に同町の実家に戻った際の写真。実家は津波でさらわれ、萌ちゃんの祖母鈴木敏子さん(当時61)は亡くなった。祖父教之(のりゆき)さん(68)は家族写真を撮るのが趣味で、アルバムに整理するのが敏子さんの役だった。
 『こんなにきれいに残っていたなんてびっくり』と母美樹子さん(34)。教之さんは『帰ってきたんだ。3カ月も海にね…』と写真を見つめた。   (中山由美)」















  (朝日新聞11年6月11日朝刊)


 ▲葛谷晋吾:
 朝日新聞カメラマン。日本雑誌写真記者会賞・最優秀賞を受賞。報道写真展・企画部門賞「夕張に生きる」など。


<追記>
 トップの写真(6月7日付の朝日新聞)だけなら悲しすぎて、HPこのコーナーには登場しなかったんですが、<続報>のもう一つの写真(6月11日付の同紙)を見て、ようやく掲載する気に。「萌ちゃん」の笑顔、とてもいいですね。