こんな本、あんな本
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■著者:高田健 ■発行所:技術と人間 ■発行日:2002年12月31日 ■2200円+税 | ●高田健さんは不思議な魅力を持つ人だ。去年1年間で2回もローカルな神戸市灘区に話しに来てくれました。 ●わずかに残る会津なまりで語り口はソフト、しかし非常にシャープな分析で憲法改悪の動きを話します。 ●会が終わって一杯飲みにも付き合ってもらう。が、その時もあまり変わらない。憲法調査会をこれほど丹念に聞き、調べている人としては、全国区の人なのに。 まるで本の紹介になりませんでした。あなたの所へも、頼めばきっと来てくれます。 |
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■池澤夏樹(文) 本橋成一(写真) ■発行所:光文社 ■発行日:2003年1月25日 ■952円+税 | ●「人間の盾」になるため、世界中から人々がイラクに集まり始めているという。米軍の爆撃の的になる発電所などの施設に座り込み、実力で攻撃を阻止するために。究極のボランティア、文字通り献身的な反戦の闘いだ。 ●国連が発表した経済制裁の報告(2001)によるとイラクの死者は推定で150万人、うち62万人が5歳以下の子供たちだったという。 ●爆弾が降るイラクの人たちがどういう人々なのか、自分の目で確かめた貴重なレポートと写真。 とても感動します。アメリカのイラク攻撃の理由のなさがよく分ります。 |
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■戸井十月 ■発行所:新潮社 ■発行日:2003年6月20日 ■1500円+税 | ●著者の「十月(じゅうがつ)」という名前の由来は、亡父の「ロシア十月革命」への思い。 死んだ人と会えるとしたら、迷いなく自分の父とゲバラという。その亡父とほぼ同年齢の「カストロに会いたい」というキューバへの旅は、亡き父の追悼の旅路でもありました。 ●北朝鮮・社会主義の酩酊運転を見るとき、依存していた砂糖きびモノカルチャーとソ連が潰れ、普通だったら崩壊するはずの社会主義キューバの「めげない」秘密とは? あの気むずかしいヘミングウェイが、革命後も愛したキューバとは? ●不履行の対外債務を増やしても充実させる無料の医療と教育、男に依存しない女性への優遇策、そしてわざわざ法律まで作った現存権力者の偶像禁止。映画ブエナ・ヴィスタ・ソーシャル・クラブにあるような素朴な明るさ。 ●ところで、著者はカストロに会えたのか? 後は読んでのお楽しみ 戸井十月さんのHP |
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■大野芳 ■発行所:新潮社 ■発行日:2003年8月15日 ■2000円+税 | ●明治以降、朝鮮の人たちとの関係が穏やかであった時期はない。最近の例を除けば、その時々の日本政府の姿勢が原因といえる。 とくに戦前は日清・日露の戦争、そして朝鮮併合と日本による一方的な関係だった。 ●朝鮮・韓国の人たちの国民的英雄である安重根は、実は犯人ではなかった?伊藤博文の遺体に残る上から下への銃創は、建物の2階から発射されたもの?それでは一体誰が? ●朝鮮併合前の日本と朝鮮との関係を裏面から物語る力作です。 |
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■佐高信 ■発行所:小学館 ■発行日:2003年7月20日 ■1995円 | ●佐高信さんの故郷.山形県酒田市の先輩、写真家の土門拳の生涯と作品の紹介。 ● 本のタイトルの「逆白波」とは、同じ山形出身の斎藤茂吉の歌「最上川逆白波のたつまでに ふぶくゆふべとなりにけるかも」から、運命に「逆らい、抵抗して生きた」土門拳を例えています。 ●写真好きであってもなくても、土門拳の作品は、『室生寺』『生きているヒロシマ』『筑豊のこどもたち』など、どこかで必ず見ているものです。 |
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■デービッド・ハルバースタム ■発行所:PHP研究所 ■発行日:2003年7月10日 ■上下各1800円+税 | ●実は、アメリカ現代史にはあまり興味がありませんでした。その眼を開かせてくれたのが9・11であり、アフガニスタン、イラクとの戦争。 ●親父ブッシュからクリントン、2代の大統領を軸に最近のアメリカ政治の変遷を描いています。 キーワードは、片方で大統領・軍・議会であり、もう一方は外交と国内政治です。 ●上下で900ページを超えますが、人物中心に展開し小説みたいに読めます。 湾岸戦争勝利の親父ブッシュが何故クリントンに負けたのか? 戦争屋・息子ブッシュはどうか? 読んでのお楽しみ。 |
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■銭本健二&小泉凡 ■発行所:松江今井書店 ■発行日:2003年4月30日 ■1900円+税 | ●この本は朝日新聞の「ひと」欄に八雲のひ孫で、本の著者の一人・小泉凡さんが載ったのが購入のきっかけ。 ●小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、私にいろいろな縁があります。 子供の時(鳥取県境港市時代)遠足で見学したのが小泉八雲記念館(旧)で、 また八雲の作品「盆踊り」や彼の新婚旅行は鳥取県にも及び、 そして私が現在住んでいる神戸では、八雲が新聞記者として(県立中央労働センター前庭には記念レリーフ)。 ●神秘主義や社会進化論など思想は違うけれど、なにかしら興味があります。 ●とくに、詰め込み暗記の教育ではなく、「想像力を大事にした教育」の主張など現代の日本にも通じます。 |
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■トニー・メンドーサ 沢田裕子=訳 ■発行所:河出書房新社 ■発行日:2003年9月30日 ■1600円+税 | ●猫は2匹飼っています。でも、猫の写真集は買ったことがありません。 この本は、娘が私の誕生日祝いにくれたもの。 ●初版のErnieは、1985年で、90年代初めに絶版に。 再版を求める声に応じ追加の写真を加え、新しく出版されたもの。 ●ニューヨークに住む主人公の猫アーニーは、よくある写真集の可愛い子ちゃん猫とは真反対。擬態語でカジカジ、ガリガリ、バリバリ、シャー(威嚇の声)の悪ガキ猫。 だから、とっても魅力的なのです。 |
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■大石芳野写真集 ■発行所:藤原書店 ■発行日:2003年10月30日 ■10000円+税 | ●左の女性が、まだ13歳だなんて信じられますか? そして、ちょっと微笑んだ右の少女が7ヵ月後学校に戻った同じ少女だとわかりますか? ●「カブール」とは「花と水」の意味だそうな。でも花と水の都は、米軍の爆撃で著者の言葉を借りれば「遺跡」のような荒野に。そこに人が必死で生きています。 ●戦禍の、一様に暗い子供たちの眼つき。 しかし、その眼をみているうち、あなたへ問いかけてきます。「今、あなたは、どう生きているの?」 |
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■手塚治虫 ■発行所:角川書店 ■発行日:2002年9月20日(第6版) ■660円+税 | ●新しい本ではありません。最近買ったこの再版本も、02年9月発行の第6版。有名なこの作品を手塚さんが最初に世に出したのが1948年、手塚治虫20歳の時。 それにしてもスゴイ内容とテーマ! ●私の年代の人を含めて、手塚漫画にはみんなが思い出があると思います。 あのコッペパンのような靴をはじめ、ちょっとでも漫画のキャラクターが模写できれば、同級生から尊敬を受けた時代でした。 ●ロストワールドの最後の部分、ヒゲ親父が死んだウサギのミーちゃんの帽子を相手にしみじみ述懐するところは秀逸です。 未読だったら、ぜひご一読を! |
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■周 海嬰(訳:岸田登美子 瀬川千秋 樋口裕子) ■発行所:集英社 ■発行日:2003年5月7日 ■2700円+税 | ●これまでも魯迅の死について、中国で主治医だった日本人・須藤五百三の「殺害説」「薬の誤用」など議論・非難が。 ●しかし、すでに泉彪之助(福井県立短大教授)により詳細に反論され、中国側の論者は自己批判も。 にもかかわらず、魯迅の唯一の子供・周海嬰からまた疑問が・・・。 ●この本の解説が指摘しているが、理屈より思いが勝る家族特有の「自家撞着」、しかし根本的には、日本の軍国主義が中国で冒した悪行とその傷跡ゆえのこと。日中友好の気持ちは変わりない。 ●ところで、魯迅の筆を妨げたのは、軍国主義もさりながら、雄猫が夜な夜な発する鳴き声。そして魯迅の反撃は階上からの投げつけるタバコ缶など、家族ならではのエピソードも多数。 |
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■井上ひさし・小森陽一編著 ■発行所:集英社 ■発行日:2003年9月10日 ■3500円+税(ただし第1巻) | ●紹介しているのは、全部で6巻(まだ今年から来年にかけ発行中)のうちの第1巻。 元号で時代を、文学を区切ることについてやっぱり私も抵抗があります。 また、大正から昭和という変わり目の時期はともかく、太平洋戦争後から昭和天皇没までの長い時期を昭和という区切りだけでは、国民の生活状況など整理できません。 ●小難しいことを書いてしまいました。 全部読んだわけでもありませんが、第1巻はとくに面白い。名うての論者が次々に登場して井上ひさし・小森洋一のメンバーと座談。切れ味良く、その時代と作家を料理しています。お正月の読み物にどうぞ。 |