「ゼケルラーが、せまい山路をけんめいに走ってくる。ノートと教科書を入れたザックが背中で揺れている。カラカラとかわいた音がするのは、筆入れがわりのペットボトルの中で鉛筆がはねているからだろう。授業開始の鐘を鳴らす用務員のアブドラがちょっとにらんだけど、間一髪まにあった。息が上がって、だだでさえ赤い顔がいっそう真っ赤になっている。」 ※ 掲載写真の少年とは人物が違います (長倉洋海『きみが微笑む時』より)
長倉洋海: 1952年、北海道釧路市生まれ。世界中の紛争地を訪れ、写真に。 写真集『マスード−愛しの大地アフガン』など多数。