こんな本、あんな本
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■監修:坂本龍一+substainability for peace ■発行所:幻冬舎 ■発行日:2002年1月10日 ■1500円+税 | ●2001年の世界を震撼させた同時多発テロと報復戦争。この問題に「戦争が答えではない」と、多くの人たちと非戦・平和のメッセージを特集。 ●本書の中から:「この『非戦』はとても重要な本だと思います。わたしはいつも日本の平和憲法に心からの敬意を抱いてまいりました。地球全体の平和と公正のために共に力を尽くしましょう」バーバラ・リー(武力行使決議に米国下院でただ一人反対) ●坂本龍一さんのホームページは一見の価値あり |
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■著者:ノーム・チョムスキー 訳者:山崎淳 ■発行所:文藝春秋 ■発行日:2001年11月30日 ■1143円+税 | ●著者は、1928年フィラデルフィアのユダヤ人家庭の生まれ。マサチュセッツ工科大学言語学教授。その政治批判は、米国の最も重要な「米国批判者」と。本書は同時多発テロ後の約1ヵ月間にインタビューをまとめたもの。 ●本書の中でチョムスキーは、米国を「テロ国家の親玉」と断罪。その根拠は、国際司法裁判所が有罪を宣告した唯一の国が米国で、とくに1980年代の米国によるニカラグア攻撃だと。 ●訳者の「あとがき」:チョムスキーによれば、米国の知識階層は「世俗的僧職者」で、国家の行為を人々の口に合うようにすることだと。日本もいかに多いことか! |
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■著者:小倉磐夫 ■発行所:朝日新聞社 ■発行日:2001年9月25日 ■1300円+税 | ●幕末、カメラは「魂を吸い取る」と忌避されたそうですが、子供の時から私は知らないカメラ機種を見るとワクワク、ドキドキします。やっぱりハートを吸い取られてるのかも? ●中学校の修学旅行の時、初めて買ってもらった自分のカメラで撮った写真は全部ピンぼけ、でも大事にまだアルバムにあります。 ●本の中で紹介されているように、カメラ開発は戦争、とくに兵器技術と関連深かったこと、これは今も基本的にそうです。 しかし、それでも平和な世の中で、カメラが庶民の生活に愛用されることを熱望します。 |
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■著者:ロバート・キャパ ■発行所:株式会社クレオ ■発行日:2002年1月25日 ■2000円+税 | ●スペイン市民戦争の写真「崩れ落ちる兵士」で有名なロバート・キャパの写真と著書『ちょっとピンぼけ』をダイジェストにしたのが、この本。残念ながら「崩れ落ちる兵士」は入っていませんが。(岩波書店2000年1月発行『ロバート・キャパ スペイン内戦』にあり) ●ブダベスト生まれのキャパは学生運動でハンガリーを追われ、ベルリンで架空のアメリカ人写真家「ロバート・キャパ」の名前で作品を発表。やがて雑誌『ライフ』の仕事として中国における抗日運動やノルマンディー上陸作戦を撮影。戦後にアメリカ市民権を得るが、共産主義者狩りで苦労する。 ●1954年4月に初来日。その滞在中の5月、急に行くことになったインドシナ戦争の取材中、地雷により不帰の客に。享年40歳。 ●この本には、キャパが撮った1954年当時の日本、なつかしい光景の写真も収められています。 |
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■著者:吉村 昭 ■発行所:講談社(文庫版:上下) ■発行日:1994年5月15日 ■各514円+税 | ●新刊本ではありません。単行本は1991年に出ていますので、私の読むのが随分遅くなっただけで、既に読まれた方も多いはず。 ●昨年紹介した『鴎外最大の悲劇』(坂内正 新潮社 2001年発行)にあるように脚気論争で鴎外や陸軍などから執拗に攻撃された側の、東京慈恵会医科大学の創始者・高木兼寛(たかきかねひろ)の物語です。 ●圧巻なのは、大勢の脚気による犠牲者を出した日清・日露戦争後の明治41年7月、政府の脚気病調査会(会長:森鴎外・陸軍医務局長)発会式で、陸軍大臣・寺内正毅の挨拶です。 あとは読んでのお楽しみ! |
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■編著:石井理恵子 ■発行所:辰巳出版 ■発行日:2000年4月20日 ■1000円+税 | ●2年前に出た本で、新刊ではありません。井上力さんの始めた「川柳」に触発されて私もやろうというわけでもありません。もともと「サラリーマン川柳」(第一生命)なんかは好きでした。この本は、面白いので最近に買いました。 ●「猫背とは 言い得て妙と 撫ぜてみる」「洗車済み 肉球模様の ボンネット」「飼い主に もてあそばれて 百面相」など、思わずニヤリとしたくなるような名句と写真が載ってます。 ●そこで私も迷句を一つ。「ネズミ取り ネコと同居の 我が家かな」(マンションで体験学習できなかった先代ネコ) 「地震後は 失業中だよ ネコと人」(どこに引っ越したの?我が家のネズミ達) |
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■著者:ロバート・キャパ 訳者:川添浩史・井上清一 ■発行所:文藝春秋 ■発行日:2002年1月15日 ■514円+税(文庫版) | ●若者を中心に(?)キャパが復活しているという。ちょっと前はゲバラでした。共通点=早死に・男前 ●「戦争参加なんて親父や祖父の時代の話」と、思っていたらアフガン戦争で日本からも1500名の若者(自衛官)が参加する時代に。 ●戦争の悲惨さを写し続け(この本はその彼の手記)、戦争に倒れたキャパ。だからこそ、また復活したんだろうと思います。 ※ キャパの経歴は、上記の写真集を参考に |
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■著者:藤井省三 ■発行所:三省堂 ■発行日:2002年4月4日 ■2800円+税 | ●以前から、中国の文学者・魯迅と日本人との交流に興味があります。仙台医学専門学校(現在の東北大・医学部)に留学、途中で医者への道を中断し帰国、文学活動に入った魯迅。 ●写真は、仙台を去る魯迅に医専時代の恩師・藤野先生が送ったもの。 ●「彼の写真だけは、今なお北京のわが寓居の東の壁に、机に面してかけてある。夜ごと、仕事に倦んでなまけたくなるとき、仰いで灯火のなかに、彼の黒い、痩せた、今にも抑揚のひどい口調で語り出しそうな顔を眺めやると、たちまち私は良心を発し、かつ勇気を加えられる」 (魯迅『藤野先生』) |
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■著者:神野直彦(東大経済学部教授) ■発行所:岩波書店 ■発行日:2002年5月20日 ■700円+税(新書版) | ●「失われた10年」という嫌いな言葉があります。@一体、誰が誰のためにこの言葉を使っているのか、A民衆は、10年だけでなくずっと奪われてきたのに、という思いが私にはあります。 著者は、この「失われた10年」についてサッチャー、レーガン、そして中曽根と、各国の新自由主義について総括しています。 ●「民とは統治される者・・・民を市場あるいは市場経済と結びつけるのは詭弁・・・財政とは、民つまり統治される者が支配する、社会の構成員による共同経済・・・官が支配する私的な会計を民が支配する公的会計に・・・官から民ではなく、官から公へ」と、痛快な指摘が多く書かれています。 ●「神の見えざる手」(市場)に委ねてしまうのではなく「人間は人間の未来」(サルトルが好きだった詩人の歌)というのが、著者の結論。 |
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■著者:酒井シヅ ■発行所:講談社 ■発行日:2002年5月20日 ■1800円+税 | ●日本で最初の脚気患者は、神話の日本武尊(やまとたけるのみこと)。脚気が重くなり、脚が「三重のまがりもちのように」腫れ杖をついて到着した地域が「三重(県)」だそうな。 ●中世のヨーロッパで黒死病と恐れられたペストの日本上陸は明治29年(1896)。 ペスト対策として、@当時の東京市がネズミ一匹を5銭で買い上げ(捕獲数は300万匹を超えたという)、A猫を飼う人が急増、などユニークなエピソードを満載。 |
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■著者:A・スコット・バーグ 訳者:広瀬順弘 ■発行所:角川書店 ■発行日:2002年6月25日 ■上下(文庫版)各1000円+税 | ●バンドの名前ではありません。 「翼よ、あれがパリの灯だ」という有名な言葉と、1927年5月にニューヨークとパリの間を初めて無着陸で横断した人。 ●でも、若くして英雄になった彼には、富と名誉とそして数奇な運命が。最愛の幼い息子が身代金事件で殺害され、国境なしの飛行機好き、技術好きがナチのシンパと思われたり。 ●いかにもアメリカ的な、政治オンチの若者がたどる過ち多き、しかし愛すべき人生。夏の気軽な読書にドウゾ。 |
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■著者:リチャード・ニューカム 訳者:平賀秀明 ■発行所:ソニー・マガジンズ ■発行日:2002年3月20日 ■820円+税 (文庫版) | ●広島原爆用ウラン輸送の任務を終えて航行中の巡洋艦インディアナポリスは、日本軍の潜水艦の魚雷で撃沈された。救助は4日後で、乗員1196名中で生存者は316名。 のちの軍法会議で艦長一人の責任が追求されたが、実際には米海軍のセクショナリズムと、遅れた救助が原因でした。 ●去年ハワイで起きた練習船えひめ丸と米原潜の衝突事故の事を思い出します。あの原潜艦長は、名誉除隊ですが、こちらの巡洋艦は艦長が自殺しました。 ●いずれにしても、軍隊という組織の非情さを物語る本です。 |
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■著者:菅原 出 ■発行所:草思社 ■発行日:2002年7月22日 ■1700円+税 | ●「9・11」の主役といわれたビンラディンが、もともと米国CIAの現地要員というのは有名な話。ところが、ずっと昔の第1次世界大戦後の時代から、米国資本は似たような事を世界中で今日まで続けてきています。 ●第1次大戦後、敗戦国ドイツに米国資本が心配したのが「ドイツの共産化」。それを防ぐためドイツへの莫大な復興投資支援、そしてドイツ財界を通じてヒトラー支援へと繋がっていきました。 ●第2次大戦後は冷戦(反共産主義)の形で世界中に展開し、その「負の遺産」が「9・11」に。キワモノめいたタイトルとは別に、とても面白い本です。 |
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■著者:セバスチャン・サルドガ ■発行所:朝日新聞社 ■発行日:2002年 ■2500円+送料 | ●ブラジル出身の写真家セバスチャン・サルドガの作品展「「EXODUS 国境を越えて」が東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで10月20日まで開催。しかし、東京まで行けないので、送ってもらったこの「図録」。 ●今、世界中で多くの難民が生まれています。サルドガは図録の最初に「未来に向かう私たちは、多くの人々を置き去りにして先に進もうとしているのではないでしょうか」と書いています。 ●図録の最後の部分に子どもたちのポートレートがあり、他の作品に増してとても印象に残ります。 |
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■著者:酒井啓子 ■発行所:岩波書店 ■発行日:2002年8月30日 ■700円+税 | ●本書の中にある「(サダム・フセインは)くそったれの息子だ。だが、『私たちの』くそったれの息子だ」というレーガン政権期の中東担当官の言葉。この言葉がアメリカとイラクの関係全てを物語っていると思います。 ●良くも悪くも、現在の世界政治の中心軸の一つはアメリカです。オサマ・ビンラディンもサダム・フセインも、実はそのアメリカが作り出した怪物にほかなりません。 ●「アメリカ対フセイン」という2極対立を越えてというのが著者の結論です。 |
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■著者:岳 真也(がく しんや) ■発行所:文藝春秋 ■発行日:2002年11月20日 ■680円+税 (文春新書) | ●今年2002年は、「討ち入り」300年らしい。地元のJRで「快速・播州赤穂行き」が走る兵庫県だが、別に兵庫県でなくとも、この話を知らない日本人は、まずいない。 ●ところがである。賄賂好きの吉良上野介のイジワルに、浅野内匠頭がキレたと言われてきたが、真相は違うらしい。 エリートの名君(吉良)vs病気持ちのぼっちゃん(浅野)、というのが「日本版9.11」の人間像だそうな。 ●なにやら、アメリカの一方的な戦争宣伝、「悪の枢軸」などが、私の頭をオーバーラップするのもご時世? |