こんな本、あんな本
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■文・写真:ヴィヴィアン・ラッセル 監訳:六人部昭典 訳:大久保恭子 ■発行所:西村書店 ■発行日:2005年11月15日 ■3800円+税 | ●睡蓮の絵などで有名なモネ、日本の浮世絵に影響を受けたぐらいの知識しかありませんでした。 ●しかし、絵にも登場する庭を維持するため、庭師だけでなくモネ自身もずいぶん労力を傾けています。モネの人生の残り半分は、この庭と共にありました。 そして、モネの死後も、多くの人たちの努力で、庭が現在まで守られてきています。 ●ガーデニングがわからない私でも、この庭の花たちのすばらしさはわかります。 |
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■著者:小川洋子 ■発行所:新潮社 ■発行日:2005年12月1日 ■438円+税 | ●単行本としてはすでに03年に発行されていますので、左記は文庫本としてです。 ●交通事故のため記憶が80分しかもたない数学博士と、その日常をサポートするシングルマザーの家政婦、そしてその息子の交流の物語です。 ●背広が記憶のためのクリップ・メモだらけで阪神タイガースの江夏の大ファンの博士、同じく阪神ファンの息子(家政婦の)、博士のために仕事を超えてサポートする家政婦という人物設定が、野球の記録数字とも相まって、最後まで読ませます。ぜひ映画も見てみたいもの。 |
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■神戸空襲を記録する会・編 ■発行所:神戸新聞総合出版センター ■発行日:2005年12月8日 ■1600円+税 | ●戦後60年の昨年、神戸空襲パネル展と内橋克人さんの講演などを中心に「神戸空襲を記録する会」が編集。最新の空襲資料やパネル展写真も載せてあります。 ●その中の一枚の写真、昭和22年4月の灘区だそうです。でも、いったいどこなのか?この写真を囲んで灘区の人たちで話しましたが、「水道筋では?」が推測の結論。 ●昨年は、神戸空襲を記録する会・代表の中田政子さんに私たちもお世話になりました。憲法を生かす会・灘の「空襲体験を聞く」(憲法サロン)もあわせてご覧下さい。 |
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■著者:ボブ・ウッドワード 訳者:伏見威蕃 ■発行所:文藝春秋 ■発行日:2005年10月30日 ■1762円+税 | ●以前に読んだ『大統領の陰謀』、そのウォーターゲート事件のリークをした「ディープ・スロート」が当時のFBI副長官だった。昨年、日本の新聞にも載りました。 ●事件時は「ワシントン・ポスト」の新米記者だったB・ウッドワード(現・同紙編集局次長)とディープ・スロートとその後の交流を書いています。 ●情報源が死ぬまで秘密を守ることを貫いてきたウッドワードに転機が。それは、認知症で記憶が薄れてきたにもかかわらずディープ・スロート自身が秘密を公開したことでした。 ●なぜ、ディープ・スロートは記者に情報をリークしたのか? 実は、今のブッシュ大統領の先制攻撃思想にも通じるのですが、盗聴・不法侵入などを他の分野では副長官は認めていました。FBI長官になれなかった恨みや正義感からの義憤だけではない複雑な権力事情をうかがわせます。 |
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■編著者:日本写真家協会 ■発行所:新潮社 ■発行日:2005年12月15日 ■2800円+税 | ●戦後60年間の子どもの写真集、かくいう私もこの時代に生まれ育ちました。だから、とても懐かしいのです。 ●日本の敗戦直後の時期、「戦災孤児たち」の写真は、今のアフガンやイラクの子どもたちとそっくり。でも、当時の子どもには一方で、あんなに輝く笑顔がありました・・・ ●末尾の解説でこんな文章がありました。 「昔の子どものほうが、目がキラキラ輝いていた−−。昔の子どものほうが、貧しいけれど楽しそうだった−−。もしも、きみたち(2005年の子どもたち)がそんな感想を抱いたのなら、この写真集にかかわったおとなたちはみんな、そっと、黙って、きみたちの肩を抱くだろう」(重松清) ※『きみが微笑む時』もご覧下さい |
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■著者:藤坂信子 ■発行所:熊日出版 ■発行日:2005年8月17日 ■1800円+税 | ●昔、社青同(当時の社会党系の青年組織)の先輩から「三浦清一」という左派の県議のこと、一緒に資本論の勉強会をした話などを聞いたことがありました。 その時から関心を持ち始め、その後に三浦の奥さんが石川啄木の妹(光子)だったことを知り、ますます興味を引かれました。 ●今年4月に有志と熊本県に行く機会があり、その途中に読みました。熊本は三浦の出身地です。 ●米国人の父という生まれから「混血児」と差別され、キリスト教に入信し牧師となり、神戸の教会に赴任し、やがて県議となり亡くなるまでの話です。 その中心はキリスト教が権力、とくに戦争のため歪められていく経過を、三浦の生涯と重ねて描いてあり、面白い本です。 |
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■著者:柴田哲孝 ■発行所:祥伝社 ■発行日:2006年1月15日(第10刷) ■2000円+税 | ●敗戦直後の1949年(昭和24)7月6日の未明、轢(れき)死体で発見された下山定則・国鉄総裁。有名な下山事件の始まりです。 ●アメリカ占領下の日本、この時期に下山事件をはじめ、松川事件、三鷹事件など謀略・陰謀なんでもありの事件が多発しました。 ●著者の祖父、元.陸軍特務機関員だった彼が、「下山事件の実行犯だったのでは?」という思いが、壮大なルポルタージュの作品に。 結論は読んでのお楽しみ! |
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■東京新聞政治部編 ■発行所:講談社 ■発行日:2005年11月7日 ■1429円+税 | ●中日新聞と系列の東京新聞に連載された「逐条点検・日本国憲法」を単行本化したもの。同新聞HPでも見ることができます。 ●憲法を生かす会・灘が、憲法学習会で昨年1年間は澤野義一先生(大阪経済法科大学)から講義を受けてきましたが、今年からの第2ラウンドは参加者が憲法条文ごとにレポートし、澤野先生から助言をもらう方式に。その副読本として利用中。 ●東京新聞政治部の記者達が手分けして執筆していますが、条文ごとの経過や論議のポイントを結構わかりやすく書いてあります。 |
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■著者:陳舜臣 ■発行所:中央公論社 ■発行日:2006年3月25日 ■686円+税(中公文庫の上下) | ●神戸は孫文と縁があり、『孫文と神戸』(2002年、神戸新聞総合出版センター)という本もあります。 また著者の陳舜臣さんは、かって灘区に住んでいた人です。 ●亡命を余儀なくされて日本、アメリカ、イギリスなど世界中に訴えて回り、何回も蜂起に失敗しながら、ひたすら清朝政府の打倒と民主主義政府の樹立をめざして頑張る孫文。その姿を陳さんは抑えた筆致で描き、さすがです。 ●あふれる3000人の聴衆を前に県立神戸高等女学校・講堂で行った最後の演説が「大亜細亜主義」。 これは、西洋近代化でアジアのトップをひた走り、その後は戦争に突っ込んでいった日本へ、演説でいう「東方王道の干城」ではなく「西方覇道の猟犬」と化してしまう日本へ、早くも1924年当時に警告を発しており、これはまた現代にも通じるものです。 |
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■編者:村井理子 ■発行所:二見書房 ■発行日:2006年7月4日 ■600円+税(二見文庫) | ●待望の本です。編者の村井理子さんは、人気サイト「ジョージのブログ」の管理人さん、本人の自称で「ジョージのストーカー」。 ●最近では、「緊急帝王切開」(だったそうです)で産んだフタゴーズのママで、嫁vs舅問題でも意気軒昂の発言ぶり。 私や井上力さんは、毎日「ジョージのブログ」を見ることから一日が始まります。 ●昨秋、京都での日米首脳会談の際に上空を威圧的に飛ぶ大統領専用ヘリ・マリーンワンを同じように見上げていた人です。 ●一読すれば、抱腹絶倒!! |
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■著者:村上もとか ■発行所:集英社 ■発行日:2001年4月9日 ■各巻505円+税 | ●スーパージャンプに連載中の漫画ですが、近所の食堂のお姉さんのお薦めで単行本を読んで病みつきに。 ●現代から幕末にタイムスリップした脳外科医・南方仁、技術はあるけど、医療器具や機械も薬もないに等しい時代に、青カビからペニシリンを作ったりしながら江戸市民を救命する物語。 大変な医学知識の裏打ちがすごい! ●勝海舟も坂本龍馬も登場しますが、主人公をめぐる女性たちも素晴らしい。 ぜひ、ご一読を! |
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■著者:長倉洋海 ■発行所:偕成社 ■発行日:2006年9月 ■定価:1800円+税 | ●『きみが微笑む時』に続いて、長倉さんの本を紹介するのは2冊目です。 ●標高2780bの山間の学校、窓ガラスはなく寒風や雨が吹き込む教室、鉛筆もペットボトルに入れて、1時間も2時間もかけて遅刻しまいと山道を走って来る子どもたち。小さな手は早朝からの家の手伝いでアカギレしているけど、輝く眼を持った子どもたちが。 ●「わたしの国アフガニスタン」「美しい国アフガニスタン」と教科書を斉唱する子どもたち。続く戦火で国土は荒廃したけど、美しい自然と人間は残っています。 どこかの国の総理大臣候補の「美しい国」とは大違い。 あなたもぜひご覧に! |
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■編:読売新聞西部本社 ■発行所:みずのわ出版 ■発行日:2006年7月1日 ■定価:3000円+税 | ●読売新聞の若い記者たち31名が古い写真を頼りに取材、05年1月から12月まで新聞に連載されたもの。 ● 元の写真は、民俗学者・宮本常一の撮った全国地域の膨大な写真、戦後だけで約10万枚といわれ、そのうち77点から九州と山口の、町・自然・生活の変化を通じて「昭和」の変貌を取材したもの。 ●宮本常一の撮った写真は、生誕地・山口県周防大島町で文化交流センターのデータベースとして公開。あなたも一度アクセスしてみては? ●なお、みずのわ出版が神戸市中央区旗塚通とは不勉強で知りませんでした。本拠地 ・ 神戸/準本拠地 ・ 山口県周防大島の出版社だそうですが、阪神大震災関連の出版物もあります。 |
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■著者:橘木俊詔 ■発行所:岩波書店 ■発行日:2006年9月20日 ■定価:700円+税 | ●いつから日本の社会は、「一億総中流」からこんなにひどい「格差社会」になったのか? 最近では「ワーキングプア」とも。 ●御用学者の多い経済学者(?)の中で、『日本の経済格差』『日本のお金持ち研究』『日本の貧困研究』などの著作にあるように貧困と格差の問題の第一人者。 ●数多くの図表と貧困率などの言葉を丁寧に説明、モヤモヤ曇っていた眼がスッキリした感じ。 とくに、最低賃金と生活保護の金額比較は興味深く、早速「おはよう新社会党」で兵庫県版を試算してみました。 ●その後『日本のお金持ち研究』(日本経済新聞社)『日本の貧困研究』(東京大学出版会)も購入しましたが、読書が追いつきません!! |
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■著者:植田正治 ■発行所:救龍堂 ■発行日:2006年1月1日 ■定価:3000円+税 | ●同じ郷土・鳥取県の境港市生まれの写真家(故人)。彼の名前も、植田正治写真美術館(鳥取県伯耆町・旧岸本町)のあることも知っていましたが、まとまって写真を見ずに。 ●ずっと鳥取を離れず、写真家としての活動を続けました。従って、砂丘など懐かしい風景も登場してきます。 ●キリコの絵のような、ダリの絵のような不思議な写真とシリーズ「童暦」のように昔の子どもの表情など興味は尽きません。 |
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■井上ひさし・文 いわさきちひろ・絵 ■発行所:講談社 ■発行日:2006年7月20日 ■定価:952円+税 | ●7,500名集まった神戸の11・3憲法集会で澤地久枝さんが講演の中で紹介した本。平和憲法の、とくに前文と第9条を、子どもたちが読めるようにいわば翻訳。 ●たとえば第9条は、「もう二度と戦はしない」としてこんなふうに。 「・・・どんなもめごとも/筋道をたどってよく考えて/ことばの力をつくせば/かならずしずまると信じるからである/よく考えぬかられた言葉こそ/私たちのほんとうの力なのだ・・・」 ●憲法について井上ひさしさんが小学生に実際話した内容も収録されています。 |