「自信をつけてくれた猫がいる。92年にヴェネツィアで出会った猫、ランポーネ。名前は近所のおばあさんが教えてくれた。壁にもたれて座っていたランポーネを、わたしはただ撮った。それが、ずっと一番好きな写真となっている。9年前より撮影の技術も機材も進歩しているから、そろそろ別の『お気に入り』の写真が撮れてもよさそうなものだが、ランポーネの写真を超える作品は、未だ撮れていない。」 (新美敬子『猫を旅する』より)
新美敬子: 1962年、愛知県豊橋市生まれ。特定郵便局の窓口職員、テレビ番組制作の仕事を経て写真家へ。猫や犬や人間のつながりを大切にして写真やエッセイに。 写真集『猫ばたらき』、『職業犬猫写真家(猫とわたしの東京物語)』など多数。